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現場の一体感はどうして生まれるか

千葉県中央区で防水工事をメインに行う油石工業です。今回はベテラン職人の濱 直哉さんにインタビューをしました。
海外からの職人も多い油石工業は、言葉の壁を乗り越えた一体感がある会社です。
今回はどうやって一体感が芽生えたのか、その理由やベテランとしての若手の育て方について教えていただきました。
入社したきっかけ

もともと、何かものを作ることが好きでした。
ものづくりが好きなら、建築系の仕事が向いているんだろうなと思って職人になったんです。そこでまずは塗装の会社に行きました。
ですが残念ながらそこは、若手にペンキさえまともに触らせてくれない会社でした。現場に立っても養生の作業がほとんどで、仕事が退屈で仕方ありませんでした。
このまま養生の作業だけでは仕事自体が嫌になってしまいます。だからせめて養生の作業を活かせる仕事は何かないかと探しました。
その結果、防水工事にたどり着いたんです。しかも、屋上で楽しそうに防水工事をしている姿が印象的でした。それがきっかけとなり、こちらの会社に入らせていただきました。
濱さん流の教育方法は

弊社では色んな国から来た職人たちがそれぞれ高いスキルを持っています。
しかし最初から高いスキルを持っていたわけではありません。まずは職人として右も左もわからなかった新人時代があります。そこで私をはじめ、先輩たちから教わったことを学び、磨いていった結果が今の彼らです。
私たちはそんな彼らに次のような教え方をしました。
まず積極的に一通り仕事を教え、やらせてみせます。そこで間違っていたら正しい方法を教えるという方法です。そうするとだんだん、若手職人ごとの得意分野や不得意分野が見えてきます。
次に、若手職人たちごとの得意分野が活かせる作業をメインに、実際の現場で仕事や役割を与えていきます。すると「この作業がやっぱり彼には向いているから必要な能力をもっと伸ばしてあげよう」、「もしかするとこっちも得意かもしれない」そんな風に、施工をしながら若手職人たちの得意分野のスキルがさらにわかってきます。
どんな職人仕事も、まず第一に自分が得意なものに気付き、それを伸ばして自信を付けることが重要です。「自分にはこれがある!」と胸を張れるスキルが一つでもあると、何か仕事で上手く行かないことがあった時でも、不慣れな現場で不安な気持ちに襲われても、自分の心をしっかり保てるからです。だから若手職人たちにはまず得意分野を積極的に探してもらいます。
そこで得意分野の施工のスキルが上がってきたら、苦手なこともできるように、少しずつ指導をしていきます。将来的になんでもできるマルチプレイヤーとなった方がやはりどんな現場でも大きく活躍できるからです。
現場で一体感を出すためには

大事なのは、全員が仕事の内容と進行状況を現場のたびに理解して、行動できるようになることです。
そこで私の役目は、現場で職人たちが何をすればいいのか、どういう状況なのか、どんな行動すればいいかを導くことです。
例えば、朝礼で全員に対して1日の流れを確認し、「昼までにはここまでの状態にしておこう」といった情報を共有します。さらに、作業と作業の合間の休憩時間でも、「終わった作業と、まだ続ける必要がある作業と、これから始める作業が何か」をこまめに確認します。もちろん、現場ごとに仕事の内容も細かく説明していきます。
さらに、職人たちからも報告、連絡、相談を積極的にしてもらいます。
すると職人として、自分が今いったいどんな仕事をしているのか、どこまで出来ているのか、次は何をしなくてはいけないのか、をしっかりと理解できるようになるのです。または、理解させるきっかけをこちらで作ることができます。
こうして、全体での情報共有をしっかりしているから、一体感が生まれるになると考えられます。
一方で、私は変に威圧的な態度や、自分の不機嫌を誰かに八つ当たりするようなことはしません。みんなで情報をしっかり共有するには、お互いが話しやすい、話しかけやすい環境が何より一番大事だと思うからです。
なぜそうしているのか

私が若手の頃は、「見て覚えろ!」と無茶なことを言う先輩がたくさんいました。
若手の立場からすれば、何をやればいいのかわからないし、この施工をしたらどうなってしまうのかもわからない、そんな状態でした。
それでも何とかして実際に手を動かしてみようと決意しても、見て覚えろと言うだけで、仕事をやらせてくれないので楽しくありませんでした。
設計図の共有や見方さえ教えてくれなかったので、あれをやれ、これをやれ、と一方的に言われるばかりで、そのたびにわからないことを一々聞くという非効率な時代でした。
その経験から、私は若手に指導するときには、まずはお互いの意見を交わしやすい状態を作るようにしています。たかがコミュニケーション、されどコミュニケーションです。お互いの意思疎通ができなかっただけで、仕事にやりがいが湧かないまま終わってしまうのはとても残念です。だからこそ、そんなところで辛いと感じなくて済むような環境を作るようにしています。
お客様から褒めて貰える時が一番職人としての成長に結びつくので、ぜひそこを目指してもらいたいという思いで日々、教育しています。
会社の強みとは

コミュニケーションが多く取れることです。
社長や研修生、職人たちと分け隔てなく、積極的に話しかけられる環境があります。
さらに、社長自身も現場に来るので、社長からの指導も受けられるのが強みの一つです。社長は誰からの質問でもしっかりと聞いてくれた上で、わかりやすく教えてくれます。 そのため、仕事のやりやすさも格段に上がります。
やはり、何かわからないことを持ったまま、仕事をするのは大きな失敗や、手抜き工事につながります。社長はプライドを持って仕事をしてほしいからこそ、そういった失敗や手抜き工事をしないようにするにはどうしたら良いかを、社長自ら教えにきてくれるというわけです。
いわゆる手抜き工事と言われる、「工程を飛ばす行為」が起きるとどうなるか、なぜ起きるのかを知らないでいるのは職人たちにとっても大変です。
お客様のクレームにつながり、会社の信頼も失います。それは職人たちが自ら自分が生きる世界を壊していく、自分の首をしめていくことです。
そうならないようにも、社長が職人たちをしっかり守ろうとしてくれる意識を感じられるのが、弊社の何よりの強みだと思われます。
将来の夢

生涯現役でいることです!
ものづくりが好きだからこそ、体が動くまで、作り続けていきたいと思っています。
そもそも防水工事は毎日違う場所で、そこにぴったりの施工を考え、キレイに仕上げていく仕事です。それが飽きなくて大変楽しい仕事なので、ずっと続けていきたいのもあります。
さらに弊社のコミュニケーションが活発な社風も私に合っていると言うのもあります。自分の意見をしっかり言えて、納得が行く仕事をできる環境は大変ありがたいからです。そんな社風により、会社がより活性化しているという現状もとても喜ばしくて、今後のことを考えるたびにワクワクします。
そんな社風が自分にも合うと思え、しっかりスキルを身に付けたいと思う方は私も全力でものづくりの楽しさをお教えしていきたいと思います。そして今後一緒に仕事をして行けたらと思うのでぜひ一度お話しさせてください。