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進化し続ける伝統工法、左官の魅力大解剖!

東京品川区を拠点に活動している左官集団、谷幸です。弊社は左官一筋の谷口社長を筆頭に志の高い若手左官職人が複数在籍する精鋭チームであり、技術力だけではなく会社力も高めようと日々試行錯誤しております。

今回は谷幸の谷口社長の登場です!左官一筋というだけあって、左官への思い入れも人一倍。こて一つで勝負する左官の魅力、奥深さ、そしてやりがいについてじっくりと語ってもらいました!

基本的なことから聞いちゃいます!左官と塗装の違いって何ですか?

いろいろと違うよ!材料も工法も仕上がりも何もかも違うね。材料に関しては漆喰や珪藻土などの自然素材からモルタルやジョリパッドのような人口素材まであるけど、それらを塗るときに左官では「こて」を使うというのが最大の違いかもしれんね。左官材料は時間の経過とともに化学反応を起こして固まっていくので、仕上げはこての使い方とタイミングが勝負や。表面に模様(パターン)を持たせるものから、ツルツルに磨き上げるものまで、左官の仕上げはほんまに幅広いしね。左官でしか出せない風合いっていうものは確実にあると思うよ。

そういう意味でいうと、塗装は均質に全体を仕上げていく技法って感じやな。ローラーや刷毛を使用して全体を同じ調子で塗っていくよね。塗装にも職人の技術は要るけれど、ある程度の経験を積めば比較的誰でも塗ることができるかもしれん。もちろん、塗装でしか出せない色や仕上がりもあるから好みの問題もあるけど。

でも職人の腕がダイレクトにあらわれて、仕上げに個性が出るのは断然左官やと思うね。

左官にはどんな種類がありますか?

代表的なものは漆喰やね。歴史もあるし今も安定した需要がありますよ。日本だけではなく欧米にも西洋漆喰というものがあって、世界中のあちこちで使われとるよ。漆喰は外壁にも内壁にも使用できる万能選手で調湿性、耐火性、抗菌性に優れているから、広く支持されるんやろね。他には珪藻土、聚楽などがあって、これらはみな自然素材なので空間に温かみや安心感を与えとるよ。人口素材としてはモルタル、ジョリパッド、モールテックスなどがあり、デザイン性の高いスタイリッシュな空間をつくっとるね。人口素材は近年どんどん良いものが出てきているので、自分たちも積極的に使うとるよ。

左官の最大の魅力は何ですか?

意匠性の高い仕上がりだね。こて一つで多様な表現ができるし、手仕事でしか実現できない独自の風合いは、クロス(壁紙)や塗装とは比べものにならないんじゃないかな。時間も手間もかけて磨き上げる漆喰仕上げも魅力的やし、大胆に凹凸をつけて空間に動きを持たせるパターン仕上げもいろんなやり方があって本当に奥が深いと思う。技術にゴールはないし、新しい材料もどんどん出てきとるから、左官と付き合っていて飽きることはない。左官でしかできないことをこれからも追求していきたいね。

左官はどんな人たちに選ばれますか?

意外と思うかもしれんけど、若い人が希望することが多いね。左官の中でも漆喰や珪藻土のように調湿性や消臭性などの効果が高いものが選ばれているね。最近は自然志向のお客様も多いから、塗装やクロス(壁紙)よりも自然素材の左官が受け入れられているんじゃないかな。それに意匠性も選ばれている大きな理由で、雑誌やインターネットなどでよく調べていて「こんなイメージでお願いします!」ってはっきりと言ってくるよ。でも嬉しいことだよね。若い人が左官に関心を持ってくれて、きちんと知識を得て良さを理解してくれているんやから。本当に良いものがわかる審美眼があるんやろうね。若い人からどんどん広がって欲しいと思っているよ。

左官の工程を教えてください

大きく分けると下塗り→上塗りやね。
でも細かい話でいうと下地処理→しごき(下地調整)→1回目下塗り→2回目下塗り(必要に応じて)→上塗り→おさえ、あるいは磨きってなるね。
特に最後の磨きは高度な作業で、一人の職人が住宅の一部屋の一面をやるのに丸一日かかるくらいだよ。

下地の工程もこんなにあるんやって思うでしょ。でも左官は下地をしっかりつくっておくことがほんまに大事なんだよ。女性のお化粧と一緒でしょ?下地をしっかりつくらないと化粧ノリも悪い(笑)それは左官も同じで、まずつるんとフラットな状態にしてから材料を乗っけていく。そうすることで定着もよくなるし、すぐにひびが入るようなこともなくなる。

最近流行っている、あるいは一押しの左官工法はありますか?

個人的な意見だけど、セメント系の左官はカッコいいよね。モールテックスとかは機能性も高くて、薄く塗っても水を通さない強い膜をつくるよ。割れることもないから耐久性もあるしね。質感が独特で説明しにくいけど光沢のあるモルタル、って感じなのかな…。ヨーロッパのメーカーが出している材料やからモダンなデザインの施工によくマッチするよ。あとは、珪藻土もオススメかな。なんと言っても調湿性が抜群。調湿性という意味では漆喰よりも優れているし、他には抗菌性もある。新築戸建の内壁にも外壁に使えるよ。

やりがいを感じるのはどんな時ですか?

自分の仕上げた壁がすごくカッコよく決まったときとかは「おおっ!」って思うけど、それは自分の中の話であって、やっぱりお客さんが喜んでくれた時が一番嬉しいね。お客さんは壁が仕上がるのをすごく楽しみにしていて、作業途中でもちょくちょく見に来たりしているよ。その度に感激してくれるよね。そして最後に仕上がりを見せると「すごい!素敵!こんなにしてくれてありがとうございます!」って言ってくれる。だから、お客様に感謝されることが一番のやりがいかな。

すごい!と思える左官職人の方っていますか?

挾土秀平さんという左官職人の方がいて、その人がやっていることは自分とは方向性が違うけど本当にすごいと思うよ。大河ドラマのタイトルを左官で描いたり、ニュース番組のセットの背景とかも手がけているけれど、職人というよりもはやアーティストやね。こだわりがすごい。素材の開拓にも熱心で世界中から土を集めたりしているんだ。土に対する愛が強すぎて、まぁ、素材感を確かめるためだと思うけど食べちゃったりするらしいんだ(笑)メデイアでも取り上げられることも多くて、彼の仕事を見た人が左官を知って関心を持ってくれるのは嬉しいことやね。伝統工法は継承者が少なくなってきているから、若い人に魅力を発信していって、目指してくれる人が増えていくと良いなと思うとるよ。


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谷口社長、左官愛に溢れています!これからも“左官でしかできないこと”をとことん追求して、日本の左官業界をどんどん盛り上げてって下さい!今日はありがとうございました。